福祉用具のメンテナンス

神戸医療産業都市推進機構の2018年度の産業推進助成金公募で、JASPECは「福祉用具流通事業者のメンテナンス事業評価」という表題の内容で、受託することになりました。

2015年度から2017年度まで行っていた、経産省から日本規格協会が受託し、JASPECが再受託した「介護保険制度における福祉用具貸与品のメンテナンスに関する一般要求事項」というJIS原案作成をベースとした内容になります。

 

表題が共に長くて、難しいように見えますが、平たく言うと、「介護保険のレンタルで出荷されている商品は、メーカーではない事業者が、独自の判断でメンテナンスしているが、何かの指標や基準に基づいて行っているわけではなく、そのメンテナンス後の仕上がりに対する最低基準は無いし、今まで一度も工具を触ったことがない人が行っていても、咎められることもないし、そもそも誰もチェックしていないという業界なので、一般の利用者が、そのレンタル品を安全に使用できるかどうかがわかるように、基準を作りましょう」という内容が、JIS原案としてJASPECが作成した内容でした。「そのJIS原案をベースにした基準を、実際に事業者で運用してもらいましょう」という内容が、今回の2018年度の神戸市の受託になります。

 

ちなみに、製造者が出荷した商品を、製造者以外が部品交換した部分が原因で、事故が起きた時に、対象の機器が製造者の工場出荷の状態で無かった場合、製造者は賠償責任を負う必要がありません。

ケガをした利用者本人は、その怪我に対する賠償を製造者に求めることができないということになります。

 

そもそも、ケガをした時の補償をして欲しいのではなく、壊れるか、ケガをするかもしれないような福祉用具なんで、使いたくないはずだと思うのですが、みなさんは如何ですか?

悪い言い方をすると、部品交換を素人が自分勝手な判断基準でして、出荷していると知っていたら、皆さんはその福祉用具を自分で使いたいと思いますか?

もしくは、自分の親に使わせようと思いますか?

素人がメンテナンスしている分、毎月のレンタル料金が100円安いとしたら、「安いから」という理由でその商品を使いますか?

 

逆に、毎月のレンタル料金が100円高いけれど、製造者にきちんとレクチャーを受けた人がメンテナンスをしている商品ですと知っていたら、「100円高いから」という理由で、使わないなどとは言わないのではないでしょうか。

私は、その福祉用具が安全であることを知ったうえで、安心して使用したいです。

そこに、金額の差があろうと、俗に言う「お金の問題じゃない」という話だと思っています。

 

JASPECは、「安全な福祉用具が供給され、安心して使用できる社会の実現を目指す」という経営理念があります。

「安全であることが客観的に評価できる」という前提で使用しなければ、本当の「安心は得られることがないはず」だという考えです。

 

JASPECは工学的試験を行っている試験所なので、直接関与してきた顧客は製造者です。

商品自体に問題があるような福祉用具を世に出させないという強い信念に基づいて、日々試験をしています。製造者にとっては厳しいでしょうが、企業として負うかもしれない賠償というリスクをなくすために必要な機関が、JASPECです。

しかし、介護保険のレンタルという流通形態では、製造者がどんなに安全な商品を作っても、いいかげんなメンテナンスをされてしまうことで事故が起きているという実態があります。基準や評価項目がないので、この部分に対するメスを入れる事自体が今まで無かったのですが、このJIS原案が、原案から一般規格に昇格すれば、「規格に基づいて評価できる」ことで、「あのメンテナンス事業者から出荷された商品は安全だ」と言うことができるようになります。

 

製造者が販売物として出荷する福祉用具だけではなく、介護保険のレンタルという流通形態で出荷される福祉用具にも、「安全であること」にアプローチすることは、「安心して使用できる福祉用具である」ためには必須だと思います。「誰もしないので、JASPECがやるのだ」と言えば、少し格好がいいように聞こえるかもしれませんが、実は何かとイバラの道です。

 

実態を知り、その実態を多くの人が知るために情報を広げるということが、最も必要なことですが、ここが一番難しいです。

みなさま、どうかご協力くださいませ。

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